Hydroponics

水耕栽培について

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新しい農業のカタチ 水耕栽培とは?

水耕栽培とは、植物の生長に必要な環境として、光や温湿度、二酸化炭素濃度、水分や栄養分を高度に人工制御することで、1年を通じて、計画的・安定的に野菜や花を出荷することが可能になる生産システムです。

世界的には人口増加が続く一方、都市開発や砂漠化などで農地に適した土地が次々と失われていく中で、食料を安定的に生産・供給していくことは、短期的にも、中長期的にも極めて重要な課題となっています。このため、天候や土壌などの自然環境に左右されずに、コンピュータ制御システムによって、最適な生育環境の下、一定品質の農産物が、高効率に生産される水耕栽培は、世界的に注目され始めています。

識者からの推薦の言葉

竹葉 剛先生
元 京都府立大学学長
株式会社エコタイプ次世代植物工場 代表取締役

1年間を通して、おいしくて栄養価に富む野菜の生産が、完全無農薬で実現できる。
若い人たちの参入を心から期待したい。

愛甲学院大阪・愛甲農業科学専門学校は、養液栽培・植物工場で野菜を生産する原理と実践とを学ぶ、全国で初めての学校である。養液栽培は、19世紀のヨーロッパで開発された手法であり、当初は研究室で植物の栽培に用いられてきたが、近年では野菜の栽培に実用化されている。

しかし、現在流通している植物工場野菜は、品質が悪く、葉に肥料成分の硝酸塩が多く含まれ、エグ味が強く、おいしくない。しかも、ビタミンやミネラルが露地野菜に比べても低く、土を使わず、農薬も不使用という点のみを売りにしている。愛甲農業科学専門学校では、これらの問題点を改良した新しい養液栽培法を身につけることができる。具体的には、収穫前処理と言って、収穫直前に窒素を含まない養液に換え、光として青色光を照射するのである。そうすると、硝酸塩が少なくなり、野菜本来の、非常においしい野菜を生産できる。同時にビタミンCなどの抗酸化成分が10数倍も多くなり、栄養価も高くなる。また、養液に亜鉛を追加することにより、葉酸(ビタミンB9)が数倍に増えた野菜を生産できる。これらの品質は、露地栽培では不可能で、養液栽培でのみ実現できる栽培法である。

現在は、地球温暖化の進行により、地球上では雨の降らない地域ができており、長期の干ばつで従来の農業生産ができなくなって来ている。土に水をまいて作物を育てるこれまでの農業を継続できない状況になってきている。植物工場では、植物が蒸散作用で出す水蒸気をエアコンで水に戻して、その水を再利用することができるので、水の循環再使用を行う植物工場は、未来の農業生産の方式である。
日本は、温暖で多湿であるため、植物の病気を引き起こす微生物が非常に多く、また昆虫も多い。このような条件で農業生産を行うと、殺菌剤や殺虫剤などの農薬の使用は不可欠である。完全無農薬を目指すのであれば、植物工場しか方法はない。有機農法は、寒冷なヨーロッパで発達した農法であり、温暖な日本では困難が伴う。
日本の農家は高齢化が進み、廃業が続いている。子どもがいても、天候の時期を読み、病気、虫取り、雑草駆除、貞節な農薬の選択、など、多くの経験を積むのを、子どもたちが嫌がるためである。植物工場では、これらの操作は必要ない。1年間を通して、おいしくて栄養価に富む野菜の生産が、完全無農薬で実現できる。
若い人たちの参入を心から期待したい。

Merit

水耕栽培のメリットとは?

  1. 天候や気候に左右されない

    水耕栽培は室内で行うため、大雨や台風、猛暑や厳冬などの影響を受けにくく、安定的な収穫が可能

  2. 成長スピードが早い

    土から栄養を吸収する土耕栽培より、水に溶かした液肥からの方が効率的に栄養を吸収するため成長スピードが早く短期間で収穫可能

  3. 衛生的でカラダにも安全

    水耕栽培は、土耕栽培より病気や害虫の発生頻度が低いため衛生的、さらに殺虫剤などを使う頻度が低いためカラダにも安全

  4. 野菜の品質が保てる

    水耕栽培は、人工光を使いながら室内の温度や湿度をコントロールするため、一定の品質を保つことが可能

  5. 土地の利用効率が高い

    土耕栽培の場合は、その土地の面積が作付面積となりますが、水耕栽培の場合は多段式の棚で栽培するため、面積の有効活用が可能

日本の植物工場(令和5年2月時点)

424箇所
※ 一般社団法人日本施設園芸協会 事業報告書より

調査時期 太陽光型 太陽光
人工光
併用型
人工光型
令和5年2月時点 187箇所
※1
43箇所 194箇所
令和4年2月時点 176箇所
※1
38箇所 190箇所
令和3年2月時点 170箇所
※1
33箇所 187箇所
令和2年2月時点 164箇所
※1
35箇所 187箇所

※1 平成27年度以降の「太陽光型」は、施設面積が概ね1ha以上で養液栽培装置を
有する施設(大規模施設園芸)に限る。

アクアポニックスとは?

アクアポニックスとは、植物の水耕栽培と魚の養殖を組み合わせた農法です。植物に与える栄養素のひとつである窒素肥料を魚の排泄物から供給するものです。魚の排泄物に含まれるアンモニアは有毒で、水を替えなければ魚は死んでしまいます。これを微生物の働きで窒素肥料に変え、植物がこれを吸収することで水を浄化し、再び水槽に戻す仕組みです。投入する栄養分は、魚の飼料のみのため、栽培された野菜は完全な有機野菜であり、水を替える必要もないため、地球に優しい究極のエコ農法として注目されています。

本校では、独自のアクアポニックスを授業に取り入れ、学生とともに、設計、製作をするというユニークな挑戦を始めています。

Future

未来への展開と期待

スーパー・コンビニなど

スーパーマーケットなどには、お店の中
で栽培したものをその場で売るような野
菜売り場が現れるでしょう。

病院食・給食

植物工場産の野菜の使用がますます増え
ていきます。

寒冷地・砂漠の植物工場

厳しい環境の中でも野菜を栽培すること
ができます。

外食産業など

レストランなどの外食産業では店内で植
物を栽培し、その場で食べるお店が増え
ます。

宇宙食

宇宙ステーションでの食を支えるのは、
水耕栽培です。