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理事長・校長のメッセージ

「愛甲農業科学専門学校」の地平 理事長・校長 西村 公男 Nishimura Kimio

「食」をめぐる環境は、かつて経験したことがないほどに緊迫した状況下にあります。
ひとつには、国内では農業従事者の高齢化が進み、近い将来「農業の担い手」像が見えなくなっています。また、中国からのPM2.5にみられるように「食の安全」を脅かす事柄が、あちらこちらでおきています。
 さらに地球規模的に考えれば、今世紀末には100億人を超える勢いの人口爆発による「危機的な食糧不足」は目前に迫っているといわれています。このように平面的な状況からみても、縦断的な傾向からみても…「農の新たな地平」の展望を切り拓く必要があります。
 こうした事情を背景に、葉物野菜を中心に「人工光型水耕栽培である植物工場」が、いま注目されています。
 「自然」としての「太陽光」に拘らずに、LEDや蛍光灯による「人工光」により安定的な光量を確保することによって植物を育成するという「工場型農業」が、注目されているのです。
 人工的な管理下にある「人工光型水耕栽培である植物工場」での農業は、天候に左右されない安定供給を可能にし、結果、消費者にとっては食料品を安価に手に入れることが可能になります。
 さらに言えば、限られた農地による露地栽培と違い、「人工光型植物工場」には生産能力に限界がありません。砂漠や酷寒の地でも農産物の生産が可能になるため、地球規模的に考えれば増え続ける人口増加に対処できる可能性を秘めています。
 露地栽培では、「自然世界」の虫害に対処するため、農薬の使用が不可避でしたが、人工的な管理下にある「植物工場」では、虫害を排除することが可能であって、結果「無農薬栽培」を現実のものとしています。
 さらに、徹底した衛生管理下にある「人工光型植物工場」の野菜は限りなく菌が少ない状態にあるため、消費期限の延長が可能となり、安定的な農産物の供給につながっています。また大量の水を使っての「洗浄」の必要がないため外葉の廃棄などのロスがほとんど発生しません。
 また、「人工光型植物工場」の作業は、従事者の肉体的負担が極めて少ないので、高齢化している日本の現状からみて、とても重要なポイントになります。
 清潔感溢れる「人工光型水耕栽培である植物工場」は、近年ますます活躍の場が拡がっている女性にとっても、魅力的な職場となっています。
 こうした「完全人工光型水耕栽培である植物工場」の担い手は新たな職業人であって、従前の農業に見られる家業生業の類とは大きく異なった能力、すなわち工業的知識と農業的素養とマーケティング力を備えている必要があろうかと思われます。
 そのためには、「新たな職業人」を教育・訓練する機関=学校が必要となっているのです。これが時代の要請であろうと考えています。
 したがって私たちが構想する『完全人工光型水耕栽培である植物工場』を前提とする「愛甲農業科学専門学校」は、日本初の唯一の専門学校です。